睡眠中に大きないびきとともに呼吸が止まってしまうような状態が何度も繰り返される病気です。ほとんどの患者さんは家族や周囲の人々から「いびき」を指摘されて診察室に来られます。中高年の肥満傾向の男性に多く見られますが、ご本人はいびきや無呼吸に気づいていないことがほとんどです。
呼吸が止まると・・・
*脳が起きて「呼吸をしなさい」と命令をだすために深い睡眠をとることができず、眠りが中断され、長く寝ていても起床時の頭痛や日中の眠気が強くなります。その結果、交通事故や産業事故を引きおこしやすくなります。仕事の能率も下がってしまいます。 *酸素が体内に入ってこないため、酸素不足となり、高血圧、脳梗塞、不整脈、心筋梗塞などの病気の原因となります。 いびきがひどいと指摘されたり、昼間の眠気が強い方は是非一度睡眠障害の検査を受けられることをお勧めします。
必ずご予約が必要です。こちらの予約フォームから申し込まれるか 一度お電話をおかけになってからお越しください。
電話対応可能な時間帯 月曜~金曜 9:00~17:00(12:30~13:30除く)
1.初診(まず、いびき外来を受診してください) | ||||||||||||||||||
|
2.睡眠ポリグラフ検査
睡眠呼吸障害の原因や重症度、治療方針を決定する為の検査方法です。一泊入院していただき、脳波や心電図、胸腹部の動き、血中の酸素量などのモニターを取り付けていただきます。痛みは全くありません。
3.結果再診(SAS外来)
睡眠ポリグラフ検査結果を説明し治療について相談します。睡眠時無呼吸症候群の最も標準的な治療法は経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法ですが、その他に病状に合わせて口腔内歯科装具(マウスピース)や耳鼻科的治療もあります。
4.治療方法導入と効果判定の検査入院
(CPAP療法の場合1泊2日入院・・17:30~翌14:00)
当院ではCPAP療法導入の為に1泊入院していただいています。その際、マニュアルタイトレーションという、一晩検査技師がデータをモニターしながらその方に合ったCPAP適正圧を決定し翌日、医師・看護師・検査技師より種々の説明や教育を致します。栄養指導や運動療法を行う場合もあります。
5.定期通院(SAS外来)
CPAP療法は保険診療になりますので月一回定期受診が必要です。
※CPAP=持続陽圧呼吸療法 ※SAS=睡眠時無呼吸症候群
ほとんどの患者さんがAHIが著明に改善し、無呼吸が0になる方もいらっしゃいます。このAHIでの判定はあくまで表層的なもので、実際はCPAPをつけて寝ると翌日頭がすっきりして仕事にとても集中できるとか、なかには世界が変わったと言われる方もおられます。これはCPAP療法で無呼吸、低呼吸が改善した結果熟睡できるようになるためと思われます。
※QOL[quality of life]=生活・生命の質。
nasal CPAP*装置は上気道を常に陽圧に保つことにより無呼吸の発生を防ぎ、睡眠の質を改善します。
nasal CPAP*装置は、睡眠時無呼吸症候群(SAS**)の治療にnasal CPAPが有効であることを初めて明らかにしたサリバン教授(シドニー大)とResMed社が開発した製品です。
・閉塞型睡眠時無呼吸
・nasal CPAPの原理図
▲クリックすると拡大表示します
- (1)CPAPという機器で鼻から陽圧の空気を送り込んで上気道を開く方法。
- (2)マウスピースで下あごを前に出すように固定して気道を開く方法。
- (3)手術で閉塞した部分を形成して拡げる方法。
- (4)減量。
などがありますが、無呼吸が起こる原因や気道の閉塞部位、重症度などで、どの方法を選ぶかが異なってきます。
小さいお子さんでも、扁桃肥大などが原因で、無呼吸が起こることがあります。脳の発達や成長に影響しますので早めに気付いて受診させてください。小児の場合は、殆どが扁桃腺の手術などで完治します。
睡眠呼吸障害の診断検査は、一泊入院(夕方6:30~翌日の朝7:00)で、費用は1割負担で約10,000円程度、3割負担では約29,000円程度です。(当院では差額ベッド料はいたただいておりません。)
まず、専門外来を受診してください。医師から、この疾患や治療の説明があった後、心電図やレントゲン検査、肺機能検査などをしていただいて精査の必要な方はPSG入院予約をします。2~3時間ほど見ていただいた方が良いでしょう。
CPAPは保険を使えば、1ヶ月あたり1割負担で1600円、3割負担の方で5000円弱です。月に1回受診していただきます。 マウスピースは保険が利くようになりました。歯科にてマウスピースを作成します。 費用は3割負担の方で1万5千円程度です。体重の増減などで、再度の調整が必要な 場合があります。 耳鼻科的手術は保険が利きますが、閉塞部位によっては効果がなかったり、数年後に再発する場合があります。
CPAPは、使用することで気道を拡げています。一般的には枕と同じように毎日使っていただくのが一番効果的ですが減量によって使わなくてもよくなる場合もあります。
睡眠不足でもないのに、いびき、無呼吸もないのに、昼間やたら眠い。授業中、会議中にどうしても眠ってしまう。 そんな方は、もしかしたら過眠症かもしれません。過眠症のなかには、特発性過眠症やナルコレプシーといった病気があります。
- ナルコレプシーには特徴的な症状があります。
- 睡眠発作・・・日中耐え難い眠気に襲われる。
- 情動脱力発作・・・笑い、喜びなど感情が昂ぶった際、突然力が抜けてしまう。全身の力が抜けて倒 れてしまうほか、ひざの力が抜けてしまう、 ろれつがまわらなくなるなどの症状もある。
- 入眠時幻覚・・・眠った時に現実感の強い幻覚を見ることがある。
- 睡眠麻痺・・・いわゆる金縛りといわれる症状。目を開けて、意識はあるものの、身体を動かすことが出来ない状態。
当院では、ナルコレプシーの診断のために、MSLT(多回睡眠潜時検査)という検査を行っています。 以下のように、2時間ごとに眠るまでの時間を4回調べます。1回の検査時間は約30分です。
検査時間 | 9:00~ 9:30 |
11:00~11:30 | |
13:00~13:30 | |
15:00~15:30 |
また、家では睡眠日誌、ライフコーダーという機械(万歩計のようなもの)をつけてもらい、普段の睡眠状態を調べます。
検査の日は、前夜より入院していただき一晩の睡眠状態も見せていただきます。
検査料金は 前夜PSG検査+MSLT 約30,000円 です。
ナルコレプシーと診断された方は、薬物療法を行います。